様々な小さな経営改善を実施してきましたが、諸事情で実現できなかったことは沢山あります。できなかったことのほうが多いです。条件によっては可能なケースもあると思いますので、参考までに紹介させていただきます。

クール便

到着後にすぐ開封し冷暗所に保存していただくことを条件にして、梨は常温保存での輸送でも問題がない商品です。ただし、宅配便の受け取りが何らかの理由で遅くなってしまうと、お召し上がりの期間が短くなってしまいますし、痛みにもつながります。これまではあまり意識してこなかったのですが、宅配会社のキャパシティが限界でオペレーションが乱れていたり、温暖化で気温が上がっていることなどから、クール便の導入もいずれは検討するかもしれません。送料が上がってお客様のご負担が増えてしまうので、今のところは様子見です。

宿泊施設

短期アルバイト、研修、ボランティアの方のための宿泊施設があれば求人にも幅が出ますし、オフシーズンにはゲストに泊まってもらうなど色々な使い方が見込めます。阿部梨園は宇都宮の郊外ですので、車をお持ちでない方に遠方から通ってもらうことは難しく、これが時々ネックになっています。必要な時期が短いのと、額の大きな投資なので、現時点では優先順位低めです。従業員向けの寮も同様。

糖度の全量検査

ハンディの非破壊糖度計(#291)を使って一部個体の糖度を計測し、糖度保証商品を販売しています。全量検査ができるようになれば、品質を統計的に証明することができて、取引にも有利です。また、生産技術を見直す絶好の材料にもなります(どの畑、どの個体、どの作業、どんな条件が品質に差を与えているかなど)。高価なので個人農家単体で保有できるほどのものではないと判断し諦めています。

育種

夢あります。が、確率の話になるので、小規模経営では難しいと判断します。

ERP(的なソフトの導入)

事業活動を総合的に管理するITソフトウェアの導入も悲願ではありますが、コスト&管理工数の観点で見送っています。スプレッドシートと単機能ウェブサービスを組み合わせて活用している程度です。安価で便利で農業に特化した真打ちのサービスが登場することを願っています。

作業受託、作業委託

人手不足の近隣の農園にサポートスタッフを派遣する作業受託もできるのではないかと考えています。オフシーズンのスタッフの仕事を確保することにもなります。これは話がまとまっていないので実現していませんが、需要があれば検討したいと思います。逆に、一部作業を委託することも同様です。

梨の樹ひとつひとつに札を付ける

個体管理のためには梨の木にナンバープレートを付与したいところですが、なかなかいい手法が見つからず、現時点では後回しになってしまっています。もりやま園さんとAgrionさんが開発されたAgrion果樹のようなものが導入できれば理想ですが。。

Agrion果樹

輸出

梨の大半の品種は日持ちがしないので、輸出には向きません。阿部梨園でいうと晩生の「にっこり」のみ、貯蔵性が高く、2ヶ月近く品質を維持できますので輸出の検討が可能です。しかしながら、「にっこり」は直売でも人気品種のため、輸出の打診はお断りせざるを得ませんでした。また、輸出となると量が必要になり、個人農家の規模ではまかない切れないのもあります。


これは無限に出てきますね。。見送ったアイデアは500件以上あります。②(#299)に続きます。