2015年から新しい梨畑づくりに着工し、2年をかけて完成したのが新圃場(#168)です。梨の栽培方式も色々ありますが、今回は根圏制御栽培という比較的新しい先端技術を導入しました。

今回の内容 Content

  • 根圏制御栽培を導入する

根圏制御栽培

新しい圃場は、栃木県が開発した最新の栽培技術、根圏制御栽培を取り入れました。シートの上に盛り土をすることで土壌病害を防ぎ、自動潅水で水を制御し、密植でY字の棚に誘引します。慣行栽培に比べて単収が2倍で早期成園化も可能、作業効率も高いという素晴らしい栽培方式ですが、初期投資が大きくなります。

根圏制御栽培

果樹の「盛土式根圏制御栽培法」(以下、根圏)は、地面に遮根シートを敷き、その上に培土を盛って樹を育成する技術です。技術確立が進む「なし」だけでなく、多くの樹種での応用展開が進んでいます。果樹では、多くの樹種で、老木化・土壌病害などによる収量や品質の低下が深刻となっています。そこで、当場では「なし」での早期成園化・多収・軽労化・土壌病害対策などメリットが多い「根圏」を開発し、普及を進めています。さらに、栃木県内外から、「なし」以外の樹種での技術開発の要望が多く寄せられたことから、都県の研究機関や企業とコンソーシアム(共同の研究会)を組織し、平成28年度から多くの樹種での実用性について検討しています。

出典: 栃木県/果樹の盛土式根圏制御栽培法

ねらい Purpose

  • 早期成園化
  • 単位面積あたりの収量向上
  • 作業効率向上
  • 水管理
  • 土壌にまつわる病害の回避

今回の結果 Result

  • 早期成園化が達成された
    • 慣行栽培より1-2年早く初収穫できた
  • 単位面積あたりの収量が向上した
    • 反収2倍の見込み
  • 作業効率が向上した
    • Y字棚で一方向の作業が実現
  • 水管理を自動化した
    • ポンプ制御で自動灌水、雨量に影響を受けなくなった
  • 土壌にまつわる病害を回避できた
中の人

梨畑の外見は従来の慣行農法と全く違います。施設園芸チックな、近代的な圃場です。栃木県が力を入れており、補助も受けられました。

今回の学び Learning

阿部梨園の知恵袋は基本的に、小さい改善の積み重ねを提案しています。が、栽培技術に関しては、不連続な進歩がありますので、ときには思い切って取り入れてみてください。

解説 Study

ジョイント栽培

密植、作業性向上、早期成園化を実現する根圏制御栽培以外の栽培方式としては、ジョイント栽培があります。新規の圃場を中心に採用が増えています。

ジョイント栽培

神奈川県農業技術センターが開発した仕立てで、ナシの樹をとなりどうしでつなげて一本にしてしまうやり方。ナシの平棚栽培では、樹の若さを保つために主枝の先端を強く維持するという面倒な管理があるが、この仕立てなら主枝先端がなくなり、樹勢維持は樹が助け合いながら勝手にしてくれる。しかも、側枝は主枝の両側にムカデの足状に規則正しく並ぶので、作業性もすこぶるいい。二年生苗で密植すれば五年目には三tとれるという「早期成園化」が売りとあって、現在多くのナシ農家がこの仕立てに取り組む。

出典: ジョイント仕立て_現代農業用語集

参考 Supplement

まとめ #243 根圏制御栽培
難易度 むずかしい比較的新しい技術なので、習熟に時間を要します
費用 高コスト慣行農法よりも初期投資が大きくなります

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